Flightrip

主に航空機や海外のお役立ち情報を発信。高頻度での更新を目指しますが、授業や課外活動などとの活動により、間が空くこともあります。

最近話題の737MAXってどうなの?僕なりの見解を綴ってみた

先日、エチオピア航空のボーイング737MAX型機が離陸直後に墜落する事故が起きました。

また、その約4か月前の2018年10月末にはライオン航空(インドネシア)の同じくボーイング737MAX型機が墜落する事故が発生。

これらの事故を踏まえ、現在世界各国で運用停止の措置が取られています。

しかし、そもそもボーイング737MAX型機と言われても分からない!という方がほとんどだと思います。

 

ボーイング737MAX型機とは

ボーイング737MAX型機は、米ボーイング社が開発した次世代型小型機です。

 

元々ボーイングは1967年の初飛行以降、改良に改良を加え、現在までに4世代累計10,000機以上を製造および引き渡しがなされている、超ロングセラー・ベストセラー機です。

その4世代というのは737-100/200型機(第1世代)、737-300/400/500型機(第2世代)、737-600/700(ER)/800/900(ER)型機(第3世代)、737-MAX7/8/9/10/200型機(第4世代)と分類されます。

日本でも日本航空JAL)、日本トランスオーシャン航空JTA)、全日空ANA)、スカイマーク春秋航空日本といった航空会社が運用を続けており、航空会社からの信頼度も大変高い航空機のひとつです。

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スカイマークの737型機

現在日本で運用されている737型機は全て第2・第3世代シリーズの機体で、話題の第4世代である737MAX型機は運用されていません

先日、全日空ANA)が737MAX型機を導入することを決めましたが、引き渡しは2021年からの予定なので現時点においては今回、ANAへの直接的影響はありません。

 

世界各国では

日本では運用のない737MAX型機、他の国ではどうなのか。

すでに半世紀以上製造が続いている737シリーズですから、後継型である737MAX型機ももちろん各国のエアラインから膨大な受注を得ています。

そんな737MAX型機は2017年、初号機が米サウスウエスト航空に納入されました

その後も順調に納入が続き、ユナイテッド航空やエアカナダ、ノルウェーエアシャトル、ライオンエア、中国南方航空といった各メジャーな航空会社から、小規模な航空会社へと引き渡されてきました。

また、日本路線へ投入する航空会社も出てきました。韓国のLCCイースタージェットシンガポールシルクエアー、最近日本路線を開設したタイライオンエアも中部線と福岡線に737MAX9型機を投入しています。

 

目立ったトラブルもなく、このまま新世代の機材として活躍するだろう—

誰もがそう思っていたはずです。

 

まさかの事故—。737MAX8型機が初めて墜落する

2018年10月29日、世界のエアライン業界に、また航空ファンに衝撃が走りました。

ジャカルタを離陸したライオンエアのボーイング737MAX8型機が、ジャカルタ沖で墜落したのです。

ライオンエアの737MAX墜落、迎角センサーに異常か FAAがAD発行

当該機が納入されたのは2018年8月、わずか2か月という機齢でした。

 

事故が報道されてすぐ、航空ファンの間ではこのような噂が立ちました。

「またライオンエアが事故を起こした。どうせ整備不良だろう。」

事実、ライオンエアは度々事故を起こし、整備面において疑問が呈されていました。

 

しかし後日、インドネシア国家安全委員会はボーイングや連邦航空局などと行った調査をもとに、事故機の迎角センサーに問題があったことを確認しました。

 

そして起きた今回の事故

CNN.co.jp : 墜落機のパイロット、「操縦装置の問題」を報告 航空会社CEOが明かす

今回のエチオピア航空の事故も、同様の不具合によるものではないかと言われています。

また、前述のとおり各国で運用停止の措置がなされているほか、措置のない国のエアラインも自主的に運用を取りやめるなどの対応をとっています。

 

この事故を受けてアメリカの航空当局は3月11日付でボーイングに737MAX型機のシステム改修を命令、ボーイングも改修に乗り出す姿勢を示しています。

現時点では、この改修によって安全性が保証されるまでの間、737MAX型機の全面的な運用再開はあり得ないものと思われます。

 

最後に

完全な事故原因の究明と公開がなされるまで僕も根拠のないことを言うことはできませんが、この数か月間で起きた2つの事故、互いに類似性があるとも考えられます。

これからの時代を担う新世代型機であっただけに、今回の事故はショックです。

幸いなことに日本の航空会社は運用していませんでしたが、他の運用中の航空会社への影響は大きいでしょう。

この737MAX型機、従来型機と比べても燃費や航続距離がさらに向上し、これまで開設できなかった路線に進出するエアラインも多くあります。日本発着路線にもそれは存在し、シルクエアーが運航する広島=シンガポール線は737MAX型機だから開設できた路線です。このほかにも大西洋横断路線や中東と東南アジアを結ぶ路線など、一部のエアラインでは革命児的な役割を担っています。

 

今後ANAも導入予定のボーイング737MAX型機、早急な原因究明と安全性の確立に尽力して、一刻も早い運用復帰を願います。